フェラーリに移籍すべきではない理由

フェラーリは完全にアロンソのチームであり、少しでもハミルトンがフェラーリを彼にとって環境のいいチームにしようとするにはそれなりにリーダーシップを取ろうとする能動的な主張をしていくことが必要になってくるのは明確である。彼にはその素質があるとは思わない。
なぜなら、彼は小さいころから手厚い保護を受けていたため、ただいい走りをすることに集中していればよかったためである。さらに彼のデビューイヤーである2007年、彼は積極的に自分のチームにしようとしたアロンソが失敗して悲惨な状況になっているのをまじかに見ており、「リーダーシップをとる」「自分の要求を強く主張していく」=「悪」 だという意識が心のどこかにあったと思う。
この傾向はバトンがマクラーレンに来て明らかになったと思う。バトンは記者会見などを見れはわかると思うが、コミュニケーションの能力がかなり優れている。Youtubeなどででバトンとハミルトンがダブルインタビューを受けている動画を見ると、会話の主導権を握っているのはだいたいバトンである。
そしてバトン本人も言うとおり、彼はチーム内の溶け込もうとしただけでなく、積極的に自分のチームにしようとした。結果として現在、「マクラレーンではハミルトンではなくバトンが主導権を握っている。」という報道がかなり多い。昨シーズンの終盤にハミルトンが「ジェンソンはいいエンジニアたちを取り込むのがうまいね」とぼやいてたのがかなり印象に残っている。
2011年シーズンは恐らくハミルトンの愚かな接触を何度も繰り返していなかったら彼はチームメイトにポイントで勝てていただろう。しかし、僅差であったことは間違いない。彼は「普通の週末を過ごせれば、ジェンソンに負けることはない。」という考えがあったようだが、シーズン終盤では実際にはトラブルフリーな週末であってもバトンに負けている場面もあった。(鈴鹿、ブラジルはいい例)
・フェラーリはイタリアのチーム
ハミルトンは他のドライバーのように、F1の下位カテゴリーに参加するために海外を拠点にして生活したことがない。この「違う環境に順応していく」プロセス、経験がなければ、ハミルトンがいきなりイタリアの精神、文化が中心となっているフェラーリに行くのはかなり厳しいことになるだろう。ましてやハミルトンは昨年不振だった理由を「精神が不安定だったため」だとしている。これでは劇的な環境の変化に順応できるはずがない。それにアロンソはかなりチームから愛されているし、2010年から(タイトルを逃した、例の戦略についても)ほとんどチームを責めていない。最速のマシンを一度も手に入れてないのにもかかわらず。彼なりに2007年からチームに対する接し方を学んだのだろう。
・レースエンジニアはロブスメドレーになる?
2008年のタイトル争いと去年、たくさんあったマッサとハミルトンのクラッシュを見れば、フェラーリのクルーたちの大半はハミルトンを良くは思っていないだろう。少なくともマッサのレースエンジニアのロブスメドレーは絶対にハミルトンを嫌ってる。ただ、マッサの後釜となるのだから、このまま行けばハミルトンのレースエンジニアはロブスメドレーとなる。けれども、お互いこの展開は望まないだろう。だからフェラーリはハミルトンとロブを天秤にかけるだろう。普通であればレースエンジニアを放出するところだが、ロブがフェラーリでかなり信頼されているのも明らかである。。。
レッドブルに移籍するべきでない理由
・ニューウェイのRBシリーズが”タイヤ”に優しいマシンだとは思えない
多くの人たちが言うように、RBシリーズはかなり空力的には優れているがその分タイヤに負担が厳しいとも言われている。最近ではRBシリーズがかなり速くその弱点はうまく隠されたが、ウェバーを見てみよう。彼は昨年、最もタイヤに厳しいドライバーとも言われているハミルトンより早くピットインを行っていたことが多かった。ベッテルは予選をうまく戦っていたためまったく問題がなかっただろう(ベルギーGPを除いて)。去年のウェバーのように少しでも違和感を感じてしまうとまったく別のマシンになってしまうのかもしれない。
・レッドブルはベッテルのチーム
アロンソとフェラーリの関係と同じようにレッドブルとベッテルの間にはかなり強固な絆がある。レッドブルの首脳陣はみんなベッテルを愛してる。昨年、韓国GPのフリー走行でベッテルの前でタイムアタックしていたアウグエスアリを激怒したヘルムート・マルコを見れば一目瞭然である。ただ、チームの監督であるクリスチャンホーナーがロンデニスの大ファンであり、この点がもしかしたらハミルトンにとってプラスな要素になるかもしれない。
よって残された選択肢は、メルセデス、ロータスである。
ただ、彼のこれまでの発言から察するにロータスは彼の選択肢にはないのではないかと思う。強かろうが新興チームを軽視するような発言が多々あったからである(レッドブルを認めたのも去年のことだ)。けれどもロータス元はアロンソ時代は強豪であったルノーだと思えば違ってくるだろう。ただ、今は完全にカスタマーチームだ(マクラーレンもそうであるが)。
メルセデスはハミルトンを小さいころからサポートしていたから今もコネクションは存在するであろう。メルセデスも新興チームであるのは確かであるが、組織はかなりしっかりしているし、エンジンは最高である。
ただ、ニコ・ロズベルグがチームメイトになると考えるとどうであろうか。そのロズベルグのことを「最高のドライバーの1人」と評価する唯一のドライバーはハミルトンである。小さいころから彼とレースしており、誰よりもロズベルグが速いことを知っているのはハミルトンであろう。恐らく彼のこれまでの発言から推測すると彼はアロンソよりロズベルグのほうが速いと思っているかもしれない。それに彼ら二人には深い交友関係がある。それらを壊す勇気があるだろうか?
そもそも、今年のメルセデスのマシンはかなりタイヤに厳しいと思うからハミルトンには不適ともいえる。
結論からしてハミルトンのベストな選択はマクラーレンに残留することである。いろいろな可能性を考えた上でバトンを倒すのが一番楽であろう。それにマクラーレンにいれば、チームメイトに負けない限り、ずっとタイトル争いができることだろう。パドックで最高のドライバーはだれかという問いにアロンソ、ベッテルとともに上がるハミルトンであるが以外にも選択肢は少ない。2007年シーズン終了後、こんな状況になるなんて思いもしなかっただろう。
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